NASCAR観戦入門講座「リーディングドラフト」

前回はリストリクタープレートレースについてお話をしました。今回はその基本テクニックである

「リーディングドラフト」について勉強しましょう。

リーディングドラフトとは2台が縦並びに走った時に前の車のスピードが上がるという現象です。モータースポーツに詳しい人なら「スリップストリーム」という現象で後ろの車が速くなるというのを知っていると思います。「スリップストリーム」というのはアメリカでは「ドラフティング」と呼ばれます。NASCARの場合も後ろの車がドラフティング効果で速くなるのですが、先頭の車（リーダー）も速くなることから「リーディングドラフト」と言われます。

通常どんな車でも前から空気を受けながら走ります。そのため、車の真後ろの部分は特殊な状態になります。カルマン渦というものが発生し、負圧となり吸引する力が働きます。簡単に言えばマシンが後ろに引っ張る力が発生するのです。
ところがNASCARのような形状の車が後ろを走るとそのカルマン渦が発生するスペースがなくなり、空気がスムーズに後方に流れます。この事により後方への吸引力がなくなり、前を走る車が速くなるのです。左の写真だと24号車よりも99号車の方がリーディンドラフト効果で速くなります。

これはNASCARの形状によるもので、F1やインディーなどフォーミュラーのレースだと起こりえません。しかしF1は「リーディングドラフト」効果というのはありませんが、リアウイングの裏側に空気を流すことにより同じような効果を得ていた時代がありました。Fダクトという装置です。今現在はダブルDRSというのもあります。しかし、DRS作動時はウイングが寝ているので後ろへの吸引力が元々少なく、装置の効果はあまりないように思います。