2013年8月7日水曜日

NASCAR観戦入門講座「リストリクタープレートレース」

NASCAR人気が全米で不動なものになったのは、このリストリクタープレートレースが始まってからだと言われています。リストリクタープレートとはエンジンの吸気口に付ける板で、空気の取り入れ口を狭める働きがあります。これを装着する事により、エンジンに行く空気の量が制限されます。結果エンジン出力が落ちるのです。90年台に入るとデイトナ・タラデガといった超高速オーバルでのスピードが時速350KMを超えだしたので、安全対策を目的として導入されました。

ところが副産物が生まれます。リストリクタープレートでエンジン出力が落ちる事によりアクセル全開で走れるようになったのです。こうなると全区間のスピードが常に一定のため前後の車間距離が0でも走る事が出来ます。デイトナやタラデガはコース幅があるので2台、3台が横並びで走行する事も可能です。


安全のためという名目でスピードを落とした結果、接近戦で大混戦の展開となりました。インディーカーの2011年ラスベガスの件も全く同じ現象です。インディーカーはNASCARのプレートレースを参考にエンジン出力を制限する方向で団子のレースを演出していました。

常にアクセル全開の擬似直線レースは世界中何処にもない特異な展開となります。ファイナルラップのチェッカーフラッグまで何が起こるか予測不能のレースが面白くないわけがありません。NASCARを見始めて何となくドライバーの名前を覚え始めた頃にタラデガでのレースを見ると世界が一変します。私は初めてタラデガ戦を見た時、「今まで観ていたモータースポーツは何だったのだろう」というような衝撃を受けました。
次回はリストリクタープレートレースの肝である「バンプドラフト」と「リーディングドラフト」について解説します。