比較的新しいルールで、ひっそりと処理されるのでNASCARファンでも知らない人がいると思います。このルールはラッキードックパスと目的は一緒で、周回遅れを救済するためにあります。
オーバルは概ね1周20秒から40秒で走破します。レース中にピットに入ると一時的に周回遅れになります。その瞬間にフルコースコーションが出ると周回遅れのままになってしまいます。極端な話、42台ピットに入って1台だけピットに入らずの状態でコーションが出れば先に入った42台は周回遅れになります。ラッキードックパスで救済されるのは1回のコーションで1台だけです。そのためコーションが出るタイミングが悪いとリードラップが数台になった状態でレースが進む事があります。
それを改善したのがウェーブアラウンドです。ピットのタイミングで周回遅れになった車を同一周回に戻します。とは言ってもルールとして変わったのは、
「周回遅れの車はセーフティカーを抜かしていい」
ただそれだけです。
フルコースコーションが出るとセーフティカーは先頭の車の前を押さえます。そこから全車隊列を組みます。そしてピットレーンがオープンするとリードラップの車が全車ピットに入ります。セーフティカーの後ろには周回遅れの車がいる事になります。
ここまでは昔と変わりません。その後コース上が片付き次第、周回遅れの車はセーフティカーを抜く事が出来るようになりました。
ちなみに周回遅れの車が抜いていいのはセーフティカーだけです。リードラップの車を抜かす事は出来ません。目の前を走るリードラップの車が全てピットに入らなければ、このウェーブアラウンドルールの恩恵が受けれないのです。あくまでピットタイミングの不運で周回遅れになってしまった車の救済を目的としたルールとなっています。