2013年7月26日金曜日

NASCAR観戦入門講座「ピットストップ」

NASCARはピットストップも特殊です。使える道具と作業人員が制限されています。使える道具は時代遅れの旧式ジャッキとホイールガンだけ。作業人員は最大6人です(例外としてウインドウシールドを剥がす人はカウントされません)。F1だと道具にも人数にも制限が無いため近年は3秒でピット作業が終わりますが、NASCARだと12秒以上かかります。

作業人員の6人の振り分けは概ね
・タイア運搬 2人
・タイア取り付け 2人
・ジャッキ担当 1人
・給油担当 1人
となっています。

道具と人数の制限により一度に2本のタイアしか変えられません。4本全部のタイアを変えるなら1人が2箇所作業します。だから時間がかかるのです。ちなみに2本だけ交換してピットを出る事も認められています。オーバルは基本的に右側のタイアの消耗が激しいので、右側のタイアだけ交換してタイムを稼ぐという戦術があるのです。右側2本だけの交換なら概ね7秒くらいで出来るので4本交換の車に対して5秒以上のアドバンテージを得る事が出来ます。

あとピットではセッティングの調整をする事も可能です。F1だとタイア交換に参加してないクルーがウイングをいじったりしていますが、NASCARであのような作業をやっていいのは作業人員として認められた6人だけです。セッティング調整をしようとすればその分だけ余計に時間がかかる事を意味します。その時間を短縮するためにジャッキ担当がタイア運搬を補助して、手が空いたタイア運搬係がセッティングの調整をするというような事を行なっています。作業員6人の動きには全て意味があり、無駄がありません。各チームに創意工夫が見られますので意識して観戦してみて下さい。

一般的なモータースポーツだとピット作業はチームのメカニックがします。しかし、NASCARではピット作業専門のアスリートを雇うケースも珍しくありません。ピット作業も競技の一部なのです。